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Toh
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108期生(ガールズ)在校時成績とデビュー期成績推測 (2015.6.27)

7月から108期生がデビューします。今年から、ガールズも男子と同じ7月デビューとなりました。
例年どおり、108期生デビュー期の成績を推測してみます。

1. 在校時の競走訓練得点とデビュー期競走得点の関係

ガールズケイリンはライン戦ではなく、点と点の戦いであるためデビュー後も競走スタイルに変わりがなく、脚力がそのまま成績となります。 したがって 男子の"競輪"と違って、在校時競走訓練の得点(平均点)でデビュー期成績を推測できます。

右に「昨年デビューした106期生の在校時の競走訓練得点とデビュー後4ヶ月間の競走得点の関係を示す散布図」を示します。

デビュー後4ヶ月間の得点を従属変数、在校時の競走訓練得点を独立変数として回帰分析で関係式を求めると、 次の(A)式 となります。(グラフ内に赤線で示します。)

 Y = 1.290 * X - 46.13    ----- (A)
  Y : デビュー後4ヶ月間の競走得点
  X : 在校時の競走訓練得点

基本的にはこの式を108期生のデビュー期成績の見積もりに利用します。
しかし 在校時の競走訓練得点は、同期内での相対的な点数です。 106期生と108期生の間には若干のレベル差があるので、 それを調べて式に補正を加えて、 108期生のデビュー期成績の見積もりに使用します。

2. レベル差の補正

106期生は、小林優香選手を筆頭に 全体としても優秀でしたが、 記録会のタイム等を比較すると、108期生は106期生より若干レベルが落ちるようです。

在校時記録会の400mタイムのデータで、108期生と106期生のレベル差を具体的な数値で算出し、これで、 108期のデビュー期の成績を推測する元データとなる 「在校時の競走訓練得点」を補正することにします。

「競輪分析データNo.35 106期(ガールズ)生在校時成績とデビュー期成績推測表1.」 および、 下の 表1. のデータから、106期生と108期生の 400mタイムおよび競走訓練得点 の平均値(μ),標準偏差(σ) を計算すると、

在校成績:400mタイム
平均値(μ) 標準偏差(σ)
106期生26.13 秒 0.892 秒
108期生26.73 秒 0.874 秒
在校成績:競走訓練得点
平均値(μ) 標準偏差(σ)
106期生75.28 点 2.382 点
108期生74.78 点 2.424 点

となります。400mタイムにおいて、108期生は 106期生に対して平均値で 0.60秒(=0.67σ) 遅くなっています。
これをレベル差とみなし、108期生は 競走訓練得点の平均点が、106期生の平均点より 0.67σ だけ低くなるように補正 を行ないます。
106期生の 平均点 75.28点を 0.67σ(=1.60点) 下げると 73.68点となります。 従って、108期生の 競走訓練得点の平均値(74.78点)が 73.68点になるように、1.10点を 108期生の競走訓練得点から減算する補正 を行います。

3. 108期生デビュー期の成績推測

補正を加えた 上の(A)式は、

 Y = 1.290 * (X-1.10) - 46.13    ----- (B)
  Y : デビュー期の推測競走得点
  X : 在校時の競走訓練得点

となります。これを108期生のデビュー期の競走得点を推測する式とします。

また、詳細は省略しますが ガールズにおける「推測競走得点 → 推測能力値」の変換には 次の(C)式を使って計算します。

 Z = 1.155 * Y - 35.92    ----- (C)
  Z : デビュー期の推測能力値
  Y : デビュー期の推測競走得点

下の 表1. に 108期生 在校時成績と、上 (B)式,(C)式で求めた推測値を記載します。
この推測能力値は、電子競輪新聞の108期生の初期能力値として使用します。

4. 総合点(参考データ)

男子選手のデビュー期の成績を推測するために、

「在校時成績と実戦成績の相関式」
  ・総合点 = 在校時の[連対率+(先行率x3)−(400mタイムx30)+1000]  ----- (D)
   (競輪分析データNo.6 「84期生在校時成績 VS デビュー戦成績」参照)

で求めた 総合点を 利用していますが、今回も 参考データ として この式で計算した総合点を 下の 表1. に付加しました。
選手のパワー(自力選手としての脚力)を推測するのは、競走訓練の平均点より こちら総合点の方が優れていると思います。

総合点は 尾崎睦選手549点でトップ、児玉碧衣選手538点で2位でした。 この2人が500点越えの2強で、3位の細田愛未選手になると369点まで落ちてしまいます。

尾崎睦選手は競輪学校に入校直前までビーチバレーで活躍した選手です。 2010年はガールズケイリン106期生の金田洋世と組んで全日本ビーチバレー女子選手権大会で優勝しており、 2012年と2013年は草野歩と組んでビーチバレーJBVツアーの年間王者となりました。

児玉碧衣選手も高校まではバレー部に所属していました。高校3年の時にガールズサマーキャンプに参加して 競輪選手を目指すようになったようです。在学中に競輪学校に適正で合格し、高校卒業後すぐに競輪学校に入学しました。 在校時にどんどんと力を付けたようです。

表1.   108期生 在校時成績とビュー期成績推測  
選手名年齢府県在校成績 総合点
順位
総合点能力値
推測
競争得点
推測
在校
順位
平均点レ-ス
1着
2着
3着
バック
決まり手400m
タイム
先行捲り追込
尾崎睦  30神奈178.617141156553215925.38154926.2953.86
児玉碧衣 20福岡278.51684212346436524.81253826.1453.73
細田愛未 19埼玉377.497126227217202126.22336924.6252.41
三宅玲奈 19岡山477.3166181720121061926.14432324.3552.18
佐藤亜貴子32神奈575.6971151611134121526.08531621.9450.09
元砂七夕美19奈良675.57689181615432026.86630021.7649.94
溝口香奈 29奈良775.3573317170011926.44723421.4349.65
福田礼佳 19栃木875.3070611171141226.76822521.3549.59
東口純  21石川974.4764412161011526.81922520.1248.52
日野友葵 20愛媛1073.47711517000627.981516918.6347.23
高橋朋恵 20長崎1173.4272012112111027.761119218.5547.16
島田優里 20奈良1272.3371049000427.501318016.9345.76
岡崎優美 19岡山1371.6748122000327.361218515.9544.91
山口優衣 20佐賀1471.4672045001327.741417315.6344.63
梅田夕貴 28福井1571.1275106201027.151019415.1344.20

5. 106期生のデビュー期実績

表2. 106期生デビュー後4ヶ月間の実績
選手名実績得点出走数推測得点得点差
小林優香 57.702358.75-1.05
石井貴子 57.311656.800.51
長澤彩  55.042555.98-0.94
奥井迪  54.932953.311.62
高木真備 53.352657.20-3.85
高橋梨香 52.042552.64-0.60
山本奈知 51.882453.74-1.87
竹井史香 50.882652.90-2.02
山路藍  50.692948.821.87
高橋千秋 50.002747.792.21
小川美咲 49.362550.31-0.95
飯田よしの49.112851.45-2.34
金田洋世 48.962750.93-1.97
濱田瞳  48.762550.56-1.80
青木美優 47.333047.94-0.61
宮安利紗 47.302749.32-2.02
上原七衣 46.782747.81-1.03
山本レナ 46.002746.84-0.84

106期生のデビュー後4ヶ月間(2014年5月1日 〜 9月1日)の実際の成績を右の 表2. にまとめました。 表における項目は、

実績得点
デビュー後4ヶ月間の競走得点。
出走数
デビュー後4ヶ月間のレース出走数。
推測得点
「競輪分析データNo.35 106期(ガールズ)生在校時成績とデビュー期成績推測」で求めた推測得点。
得点差
推測得点 と 実績得点 の差。

です。上から実績得点の高い順に並べています。

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